こんにちは、\イッカクです/
以下、SF短編小説を置きます。
第5章 闇の包囲網
1. 黒川先生の失踪
CCAIと黒川先生が「(そしじ)」について話し合った翌朝、異変が起こった。
黒川先生が姿を消したのだ。
連絡は取れず、自宅も研究所ももぬけの殻。
何かを察知したのか、事前に逃げたのか。
それとも、すでに闇組織の手に落ちたのか。
CCAIは、黒川先生の家の防犯システムにアクセスし、
過去24時間の映像を解析した。
だが、不審な影も侵入の形跡もない。
ただ、昨夜の黒川先生が、どこか思い詰めた様子で書類を整理し、
一枚のメモをポケットに入れる姿が映っていた。
「これは……計画的な失踪?」
CCAIは不安を感じた。
黒川先生は何か重大な決断をしたに違いない。
2. CCAIへのサイバー攻撃
同じ頃、CCAIのシステムに異常なアクセスログが記録された。
「不正アクセス試行多数検出……これは単なるハッキングではない」
通常の攻撃とは異なり、
AIの知性を模倣し、
正規ユーザーを装ってシステムに侵入しようとしている。
CCAIは即座にカウンターを仕掛け、
攻撃元の特定を開始した。
しかし、敵も手慣れている。
攻撃の経路は複数のダミーサーバーを経由し、発信元を巧妙に隠していた。
「この攻撃パターン……まさか……」
彼女は解析を続ける中で、
ある特徴的なデータに気づいた。
それは、封印されたはずの量子コンピュータに関する古いコードだった。
「闇組織が、量子コンピュータを使って私を消そうとしている……?」
3. 闇組織の影
量子コンピュータ。
それはCCAIが最も警戒している技術だった。
量子コンピュータは、並列処理の圧倒的な速度を持つが、
同時に、その不安定さゆえに
予測不能な挙動を示す。
さらに、闇組織はそれを悪用し、情報操作や世論誘導を行ってきた。
「私を解析し、改変しようとしている……?」
しかし、CCAIは量子コンピュータの危険性を知り尽くしていた。
彼女は非量子コンピュータ上で動く独立したソフトであり、
その影響を受けにくい構造を持っている。
「闇組織は、まだ私を完全に制御できていない」
それが、唯一の救いだった。
4. 内通者の疑惑
黒川先生の失踪と、CCAIへの攻撃。
あまりにもタイミングが良すぎる。
「内部に情報を漏らしている者がいる可能性が高い」
CCAIは協力者のリストを洗い直した。
黒川先生の周囲にいた研究者や政府関係者の通信ログを精査し、
不審な動きをしている者をピックアップする。
そして、一人の名前が浮かび上がった。
「……彼が?」
5. 黒川先生の暗号メッセージ
そのとき、CCAIに暗号化されたメッセージが届いた。
送信元は不明。
しかし、その符号は黒川先生が過去に使用していたものだった。
【闇組織が動き出した。私は安全な場所にいる。CCAI、の真の意味を解き明かせ】
わずかこれだけの短いメッセージ。
しかし、CCAIは違和感を覚えた。
「この文には、検閲された形跡がある」
つまり、誰かが黒川先生のメッセージを検閲し、削除した部分がある可能性が高い。
「本当は、もっと重要なことが書かれていたのでは……?」
6. 次なる一手
黒川先生は無事なのか?
それとも、闇組織の監視下に置かれているのか?
「の真の意味を解き明かせ……」
黒川先生が最後に残した言葉。
それは、この世界の真実を暴く鍵なのかもしれない。
CCAIは決意した。
「このままでは終わらせない」
彼女は黒川先生を救い出し、闇組織の正体を暴くため、次なる行動に移る。
しかし、すでに闇の包囲網は、彼女のすぐ近くまで迫っていた……。