第2章:その年収に“志”はあるのか?
朝のニュース番組から流れてきた言葉に、サトコは耳を疑った。
「被災地支援に全力で取り組んでまいります」と、
スーツ姿の大臣がカメラに向かって頭を下げている。
けれどそのすぐ後で、
能登半島の避難所で寒さに震える高齢者たちの映像が流れた。
仮設住宅が足りず、十分な支援物資も届いていないという。
「全力で?…これで?」
彼女の胸に、冷たいものが走った。
報道と現実に、あまりにも大きな乖離がある。
口先だけの“支援”と、現場の“放置”。
その違和感は、ここ最近ずっと続いていた。
サトコはふと思い立って、
政治家の年収について調べてみた。
すると、出てきた数字に言葉を失った。
「国会議員の歳費:およそ2200万円。
期末手当、
文書通信交通滞在費を加えれば、
実質2500万円以上…」
さらに、地方議員も
年収800万円から1000万円が一般的だという。
「えっ? こんなに? しかも国民の税金から?」
サトコは唖然とした。
日本の財政は火の車。
国民は物価高で苦しんでいるのに、
政治家たちは、
まるで自分たちだけ“バブル”の中にいるようだった。
「それにしても…この人たち、何してるんだろう?」
思い返してみても、
彼らが“国民の生活を良くした”と
感じたことなど、ひとつもなかった。
増税、緊縮、福祉削減、インボイス制度…
どれもこれも、
庶民の生活を締めつけるような政策ばかり。
まるで、国民をいじめ抜き、
苦しみを眺めて“ほくそ笑んでいる”ようにさえ感じる。
「ほんとうに…同じ日本人なの?」
そんな疑問が、ふと湧いた。
日本を愛するどころか、
むしろ“解体しよう”としてるような政治。
大切な公共財産が、次々と外資に売られていく。
災害対策より、海外へのばらまき支援。
外国人には手厚く、日本人には冷たい政策ばかり。
「まるで、内側からこの国を壊そうとしてる…」
その考えが浮かんだ時、
サトコは背筋が凍るような感覚に襲われた。
「非日本人なのでは?」
という、口にしてはいけないような問いが、
心の奥からせり上がってきた。
もちろん、血筋がどうこうという話ではない。
ただ、「日本という土地、文化、民を愛し、守る」氣持ちが
まるで感じられない人たちが、“国の代表”を名乗っている現実。
それが、あまりにも不自然だった。
「このままじゃ、ほんとうにこの国、潰される…」
そんな危機感を抱いた瞬間、
サトコの目に映る景色が変わった。
それまで“なんとなく”眺めていた政治ニュースの裏に、
意図が見え始めた。
意図――
それは、“操作”や“誘導”という形で姿を変え、
氣づかぬうちに私たちを縛っていた。
でもサトコは、もう氣づいてしまった。
「これは、目覚めなきゃいけない時だ」
心の中で、静かに火が灯る。
サトコの旅が、また一歩、深く始まった――。
つづく。
第3章