第3章:見えざる紐 ― 留学生とスパイ活動の実態
かつて、留学とは「知を求めて国境を越える旅」とされ、
美しい理想に包まれていた。
だが、現代の留学生の一部は、
まったく異なる使命を帯びている
――「祖国の情報収集係」という、
目に見えぬ“紐”に繋がれて。
とくに中国からの留学生には、
その背景に“国家戦略”という巨大な構図が潜んでいる。
アメリカではすでに、その実態が暴かれ始めている。
アメリカで暴かれた「留学生スパイ」の実態
近年、アメリカでは複数の中国人留学生が
FBIにより摘発されている。
その罪状の多くは、
「国家安全保障上の情報収集活動」
――つまりスパイ行為だ。
たとえば、2020年には、
人民解放軍の関係者であるにも関わらず、
虚偽の申告をしてビザを取得した女性研究者が逮捕された。
彼女は、バイオ医療の最先端研究にアクセスしており、
明らかに軍事転用を視野に入れた活動が疑われていた。
他にも、ハーバード大学の著名な教授が、
中国の「千人計画」への関与により
収賄容疑で逮捕されたことは記憶に新しい。
この計画は、
中国政府が海外の知識人を組織的に取り込み、
科学技術情報を自国へと流出させる仕組みだ。
つまり、アカデミアすらも国家の戦場と化しているのである。
日本の“スキ”を突かれる構図
では、日本はどうか?
日本の大学や研究機関にも、
すでに多くの中国人留学生が在籍している。
文部科学省や外務省の支援制度を通じて、
日本で学び、働く機会が提供されているが
――その背後にどれだけの“国家的動機”が潜んでいるかは、
ほとんど検証されていない。
ある私立大学の教授は、
「技術的な相談に乗っていた留学生が、
卒業後すぐに中国軍需企業に就職していた」と証言している。
つまり、大学は“無意識のうちに”、
軍事転用可能な知識や技術を提供する中継点となっているのだ。
これは、明確に“超限戦”の一環と言える。
表面的には平和的な学術交流であっても、
その本質は「ソフトな侵略行為」にほかならない。
国家戦略としての“留学生制度”
中国では、すべての国民が「国家情報法」により、
政府の指示に従い情報を提供する義務を負っている。
つまり、たとえ個人が善良であろうと、国家の命令には逆らえない。
それは“人質”としての家族が、中国本土にいる限り――。
この事実は、日本国内ではあまりにも知られていない。
むしろ、「留学生=かわいそうだから助けよう」
という感情が先行しすぎて、
裏にある構造的なリスクに目を向けることができていない。
もちろん、すべての中国人留学生が
スパイであるとは限らない。
だが、“構造的リスク”とは、
個人の善悪を超えた次元にある。
この“見えざる紐”に繋がれた人々を、
日本は無条件で受け入れ続けるべきなのだろうか。
「善意」と「脇の甘さ」の狭間で
日本人の「善意」は尊い。
だが、それが
“脇の甘さ”と化したとき
――国家の存続にかかわる問題となる。
留学生制度を通じた人的交流の裏に、
国家戦略が巧妙に忍び込んでいる現在、
政治家も国民も、
ただの「教育支援」や「文化交流」として
語るだけでは済まされない。
“誰のための政治か”という問いは、
ここにも貫かれている。
政治とは、
国民を守るための盾でなければならない。
その盾が穴だらけであるならば、
今こそ氣づき、補強すべき時なのである。
つづく。
第4章